海の家


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海の家だ…。
全然海の家ではないし、むしろマンションなのだが、JR東海道線国府津駅のホームから、背後に広がるこの景色を見た時、僕は感動した。2つのマンションの白と、その狭間から見える爽やかなスカ
イブルーが、何とも言えない美しさを演出していた。
 僕がもし、静岡の工業地帯でなく、海沿いのこの街で暮らしていたら。僕がもし、名古屋の排気ガスが煙る高速道路の側のマンションでなく、海沿いのこの街で青春を過ごしていたら。フェンス越しに見える海の美しさも、白いマンションも、また違ったものとして目に映ったのだろうか。
 そうこうしているうちに僕のお目当てのJR快速アクティー熱海行きの列車が向かいのホームに来てしまった。もう京都に帰らなければならないのである。僕は国府津の街に降りたことはないし、国府津という街もよく知らない。僕はたまにこのような妄想をする。まだ見ぬ街に、ありえたかもしれない自分の人生を想像するのである。