タナカコーヒー

 
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 今日は祇園祭を見たついでに祇園のタナカコーヒーに来た。タナカコーヒーは真夜中まで営業されている喫茶店であり、祇園という繁華街の街中にあるためか、土地柄水商売のお店への出前が多い。店内を見ると、着物を着た派手な髪色のお姉さんがいたり、目付きの鋭い男がいたり、かと思えば普通の観光客が談笑しているなど、さながら裏と表が交差しているような客層であった。僕はこのタナカコーヒーの曖昧な空気が好きであった。夜に来て、華やかな世界を側に感じながらコーヒーを飲み、本を広げて没頭する。非日常と隣り合わせの環境は、僕に自己陶酔を起こさせるのに充分であり、少し大人になれたかのような気分に僕を陥らせた(と言っても僕はもう22歳なのだが)

 店員さんたちはいつも出前のサンドイッチをせっせと作っている。多種多様のフルーツと生クリームが散りばめられた、宝石のようなサンドイッチである。僕がその様子をじっと見ていると、店員の1人であるお爺さんが「食べる?😇」と冗談で笑いかけてくれた。僕も笑顔でそれに答えた。

 外へ出ると、祇園のネオン街が広がっていた。カフェインを摂取したから、頭が変に冴えて、高陽している。「遅い時間だけど、もう少し散歩してから帰るか。」僕はそう思って、自転車を押して祇園の街を歩いた。夏の夜の湿った匂いが、鼻につん、とついた。